予算編成方針について
令和8年度 予算編成方針について
1、経済状況と国の動向
我が国を取り巻く経済情勢は、10月に発表された月例経済報告によると、「景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。」とし、先行きについては、「雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。」としています。
本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」では、「賃上げこそが成長戦略の要」であるとして、物価上昇を上回る賃上げを普及・定着させ、国民の所得と経済全体の生産性を向上させるとともに、「地方創生2.0」の取り組みによって、強い経済基盤と豊かな生活基盤を地方に構築し、日本全体の活力を取り戻すとしています。また、地方団体に対しては、国の取組と歩調を合わせながら、引き続き活力ある多様な地域社会の実現に向けて取り組んでいただくようお願いをしています。しかしながら、その後に執行された参議院選挙により、少数与党となり暫定税率の年内廃止や、政権の枠組みを変え、「責任ある積極財政」を掲げて新たに船出した新内閣による政策など、今後の情勢を注視していく必要があります。
2、山梨県の状況
県内の経済状況は、甲府財務事務所が発表している県内経済情勢報告によれば、「県内景気は、緩やかに持ち直している。」としています。このような経済状況の中、山梨県の来年度予算編成方針は、厳しい財政状況にあるとはいえ、「県民一人ひとりに豊かさがもれなく届けられる仕組みをもった『豊かさ共創社会』を築き上げなければならない。」としています。そのため、県民の暮らしをあらゆる外的衝撃から守り抜く「ふるさと強靭化」と、交流を広げた新たな可能性を拓く「開の国づくり」という二つの柱により、必要な施策・事業を適切に実施していく方針であります。
3、本町の財政状況と今後の見通し
少子高齢化に伴う人口減少対策や物価高騰への対応など、社会経済情勢は大きく変化し、複雑・多様化する町民ニーズに的確に対応していくため、その先にある姿を予見した上で持続可能な町づくりに取組むことが求められています。
本町の財政状況を令和6年度決算に基づいて見てみますと、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」による健全化判断比率では、4指標とも健全性が保たれていると判断され、公営企業の経営の健全性も問題なしという結果になっています。しかし、今後も人口減少とともに財政規模の縮小が想定される中、税収減も避けられないことから、財政力の低下が懸念されます。財政力の低下は、財政の余力を削ぐ作用があるため、たとえわずかな義務的経費の増であっても、その積み重ねが将来負担となって財政を圧迫することになりますので、より慎重な財政運営が求められます。
町の借金である町債の残高は、令和9年度に合併特例債の元利償還が終了しますが、近年の過疎対策事業債等の発行額をベースに推計すると、ほぼ横這いを推移する見込みなので、今後も義務的経費である公債費については、中長期の見通しの中で計画的に活用していくことが肝要となります。また、安定的な財政運営のための貯金である「財政調整基金」は、令和6年度末に約23億円と、不測の財政需要への対応に備えております。
今後の見通しについてですが、歳入面においては一般財源の普通交付税は算定基礎人口の減少により減額が見込まれます。また、町税収入についても、人口減少の影響のほか、物価高騰等の影響により見通しが不透明な状況であります。歳出面においては任意に縮減することができない義務的経費(人件費・公債費・扶助費)の増加が見込まれます。社会保障分野への繰出金の増加に加え、人件費等の増加が見込まれる中、物価高や民間の賃上げ等に伴う行政サービス・施設管理の委託費等の上昇にも適切に対応しなければなりません。また、国や県の動きと連動して実施する物価高騰対策や少子化対策など、新たな行政施策の必要性が増加することが予測されます。これらのニーズに的確に対応するために、さらなる財政需要の増加も見込まれ、今後も歯止めがかからない歳出の膨張傾向による厳しい財政状況が続いていくものと考えられます。歳入の確保はもとより、職員一人ひとりがコスト意識をもち、質の確保やサービスの向上の観点も踏まえつつ、今まで以上に創意工夫を凝らし、徹底した歳出抑制に取り組んでいただきたいと思います。
4、基本方針
令和8年度予算の編成に当たっては、財源が限られる中、住民に必要な行政サービスを維持できるよう、事務事業の更なる見直しを進めるとともに、創意と工夫をもって限られた財源を最大限有効に活用し、行政効果を得るべく、当初予算編成作業を進めるようお願いします。また、「第3次総合計画」に位置付けた施策の方向性と予算要求内容の整合を図り、各所管の課題に対応する新規・拡充事業などの施策の立案に当たっては、「総合戦略」を踏まえた取組等を意識し、同計画に定める施策を効果的に推進してください。なお、推進に当たっては、経費の節減に努め、持続可能なまちづくりを意識した取組をお願いします。
以上の点を踏まえ、次の事項に留意し、予算編成をお願いします。
- 既存の事務事業については、事業目的を達成した場合や事業効果を客観的に説明できない場合は、廃止を含めた見直しを検討してください。
新規事業については、法令に基づく事業等を除き、事業の終期又は見直し時期の設定を徹底するとともに、事業効果の検証が可能な成果指標を設定することとしてください。限られた組織・人員体制であります。全体の業務量について十分に考慮した事業の策定をお願いします。 - 少子高齢化や人口減少により新たなニーズが生まれています。中長期的な視点で検討し、必要があると判断できる事業は積極的な取組をお願いします。
- 令和6年度の決算に対する監査委員からの審査意見を踏まえ、改善策等を講じるとともに、町民・議会からの意見等についても、十分に検討のうえ適切に対応してください。
- 国・県支出金といった相手方との調整が必要となる歳入は、連絡を密にし、最新情報の積極的収集と的確な額の把握に努めてください。新規補助事業は、安易な事業実施で過度の財政負担が生じないよう必要性・費用対効果を精査した上で活用をお願いします。
また、補助の打ち切りや補助割合の変更等がある場合は、町単独事業として継続する必要性を十分に検証し、統廃合や規模縮小等の事業内容の見直しをお願いします。 - 使用料等については、町民負担の公平性の観点から、受益者負担の原則に立ち、これまで減免や無料としてきたものも含め、現負担額が適正であるか十分検討してください。
- 特別会計及び企業会計については、一般会計との負担区分を明確にし、独立採算の原則に基づき、財源不足を漫然と一般会計に依存することなく、受益者負担の適正化や業務運営の合理化等を進めるとともに、事業収入の確保や長期的な収支見通しに基づく経営改善等により、一般会計からの繰出金等の抑制に努めてください。
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